「日本の産業をより良くする」アカデミアに近い組織で顧客の課題解決に挑む、松尾研のAIソリューション事業とは?

今回は、株式会社松尾研究所取締役でAIソリューション事業を統括している鈴木 慎司さんに、本事業についてご紹介いただきます。AIソリューション事業の特徴や目指すものについて知りたい方はぜひご覧ください。

目指すのは、日本社会全体への寄与。

ー松尾研のAIソリューション事業は何を目指していますか?

抽象的ですが、「日本の産業をより良くしていく」ことを目指しています。松尾研が利益を上げることよりも、日本が成長することにどれだけ寄与できるかというところを真っ直ぐに見据えていることは最大の特徴です。

我々は東京大学松尾研究室を起点に立ち上がっている組織ですので、「国全体を良くしていく」という思いが根底にありますね。指標として、日本のGDP向上への寄与を目標に掲げています。

そのための手段として、深層学習の研究成果を応用し社会に実装することやAIソリューションの開発・提供に取り組んでいます。

最新の研究成果をビジネスに適用することで、社会に大きな価値をもたらすと同時に、企業が持つデータの利活用を促進することにより日本全体の研究開発も加速させることを目指しております。研究を研究のままで閉じず、どう産業に応用させていくかという部分が試されていると感じます。

そういった特徴を持つ組織ですので、「単なる実装・単なる研究をしたい」というだけでなく、その先の「社会・日本を良くしたい」という思いに共感できるメンバーが集まっているように思いますね。

アカデミアに近い組織ならではの、公平中立な視点。

ー松尾研AIソリューション事業の特徴について教えてください。

顧客の課題を起点に各プロジェクトが動いていますが、事業課題に密接に結びついたものから、どちらかというと基礎研究に近いプロジェクトまで幅広い取り組みまであることは、松尾研のAIソリューション事業のユニークさの一つです。扱う業界の幅も幅広く、医療や建築、メーカー、教育、インフラ、メディア・・と多種多様な顧客との取り組みを推進しています。

ーAIソリューション事業を進める上で、重視しているのはどのような点でしょうか。

AIソリューション事業を開始する際に見ているポイントとしては、主に二つあります。
一つは、我々の持つ技術で顧客の課題解決が可能かという点です。

パッケージング化されたシステムでは解決できない難易度の高い課題に取り組ませていただくケースが多いのですが、実現不可能なものは当然無責任にお受けすることはできません。ですので、先行論文や事例を調査した上で、必要に応じてお取り組み開始前に先方のデータを頂きつつ、実行可能性を検証すべく、小さなPoCを実施した上でプロジェクト開始を決定する、という方策を取ることも多いです。

それでもまだ分からない、という場合は、通常半年から1年での取り組み期間を想定しているものも、「まずは3ヶ月一緒に取り組みましょう」というスモールステップを設けて始めることもあります。

もう一つは、顧客にとって経済的な合理性があるかどうかという点です。

課題を解決しても、得られる成果が仮に「1人の工数削減」だけだとすると、費用対効果が限られてしまいます。顧客にとって投資するだけの価値が果たしてあるのかを、我々の方でも精査しディスカッションしています。先方の利益に繋がらないことはやっていただく必要がないと考えています。

ーお話をお伺いすると、非常に真摯な向き合い方をされていると感じます。

冒頭にお話した通り、「日本の産業をより良くしていく」ことを目的に掲げておりますし、かつアカデミアに近いポジションというところもあり、公正な判断・本質的な助言をするべきである、といった考えは強いですね。

面接などでお会いする外部のコンサルタントの方が、「自社利益を出すことに寄ってしまい、顧客にとって本質的に良い提案をできない場合がある」とおっしゃっていたのを聞いたことがあるのですが、比較すると、松尾研では「顧客、そして社会にとって良いことをすべきだ」という方針がかなり強いことは特徴的だと感じます。

顧客からも評判の高い、松尾研の技術力。

ー松尾研AIソリューション事業に対する、顧客の期待について教えてください。

課題を解決することができるということはもとより、それ以外ですと社員教育に繋がったという声もいただくことがあります。

顧客側の社員がプロジェクトにアサインされることで、AIについて学ぶ機会を得ることができたことを契機に、プロジェクトに入っていない社員の方にも松尾研のAI教育を受けさせてもらえないか、という打診もいただくことがありますね。

我々とのプロジェクトをきっかけに社内でのAI活用やDX推進に踏み出す、という動きは一定の顧客で見ることができます。

あとはやはり技術力の高さには信頼と期待をお寄せいただいています。

企業の開発チームが必ずしも研究に専念しているわけではないと思います。そのため、今世の中にある技術を活用して開発を進めていらっしゃいます。アカデミアとの架け橋を担っている我々は、開発チームの方々ではリーチしづらい点を差分として提供することができます。その点は価値を感じていただいていると思いますね。

また、直近はChatGPTの盛り上がりに比例し、大規模言語モデル周りのご相談も如実に増えています。

私たちとしてもこの技術がどのように活用できるのか企業の方とのディスカッションの機会のご提供も進めています。

プロジェクトの実施後にアンケートを取っており、有り難いことに実施後満足度は非常に高いです。一方、達成難易度の高い抽象的な課題をご相談いただくことが多いため、高い期待値に対してそれ以上のものを返せているかというと、まだできることはある、という感覚はあります。引き続き、頂いた期待を超えるような価値提供に尽力していきたいです。

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※お取り組みに関するリリースはこちら

ディップ株式会社様:https://matsuo-institute.com/2023/04/458/
株式会社ZEALS様:https://matsuo-institute.com/2023/04/466/
日本テレビ放送網株式会社様:https://matsuo-institute.com/2023/01/316/

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AIコンサルタントとデータサイエンティストの連携により、
プロジェクトを推進。

ーAIソリューション事業を推進する組織について教えてください。

主にAIコンサルタントとデータサイエンティスト、そしてインターン学生という役割で構成されています。AIコンサルタントは顧客企業のカウンターパートとして、顧客への提案活動を中心に行い、データサイエンティストはAIソリューション事業がスタートしてからのデリバーを中心に担っています。

現時点では社員が20名程度で、AIコンサルタントとデータサイエンティストは互いの領域に染み出しながら密に連携しプロジェクトを進めています。

※AIコンサルタントの働き方に関する記事はこちら

ー組織が拡大しているタイミングですが、現在のケイパビリティや課題について教えてください。

自分がジョインした数年前はインターン生も含めて30〜40名規模だったので、組織の拡大は身に染みて感じています。

ポジティブな点は、組織拡大と共に受け入れられる課題の幅や量が増えている点ですね。これまでのプロジェクト事例による過去の知見もあるため、それらを活かしたプロジェクト開始前のデータサイエンティスト側からの提案もより活発に行えるようになってきました。

その結果、AIソリューション事業の取り組みの幅も格段に広がり、インターン学生も沢山受け入れキャパシティも増えています。

インターン学生はAIソリューション事業を通して技術の社会実装経験を積み、結果としてプロジェクトをマネジメントするメンバーや、自身でスタートアップを立ち上げるメンバーも輩出しています。インターン学生については、企業の方々から優秀だというお声をいただくことも多く、技術力は勿論、アウトプットの質や提案スピードも高く評価いただいています。これまで授業で課題を解いていたところから、実社会のデータを使って課題を解くことに対して関心がある方々が多く、非常に学習意欲高く取り組んでいただいているので、そういった方々に集まっていただけているのは有り難い限りです。

一方で、課題としてはマネジメントの部分ですね。インターン学生の割合が高い分、顧客との期待値調整やお作法に関しては社会人経験のあるメンバーの方が勿論経験値が高いため、メンター制度や全プロジェクトに社員が関わる体制を構築しています。

ーこの組織で働く魅力はどのような点でしょう?

AIソリューション事業全体の魅力でいえば、繰り返しになりますが、「日本を良くしていく、産業全体に寄与できる」というポジションにいる点です。

また、個人的には最先端の研究や技術、最新動向を最前線で触れることができる点に魅力を感じています。

また、論文の輪読会や、論文実装の勉強会コミュニティといった学びの場も開かれていますし、周りに優秀なエンジニアやインターン学生がいるため、切磋琢磨しながら自身の技術を伸ばしていける環境も、魅力の一つだと思います。

より大きな社会的インパクトを目指し、事業の方向性を柔軟に検討。

ー今後のAIソリューション事業の展望について教えてください。

プロジェクトの質と量をどちらも高めなければいけないと考えています。

例えば、AIの社会実装だけではなく、そもそもの組織のDXから進めなければいけないという話も出ていますね。

例えば、AI実装をしようにも、元データが揃っていなければ高い精度を出すことができません。ですので、その前段階のアナログな部分のデータ化を推進する必要があるよね、というような、本質的に提供する付加価値は何かということを深堀りできる余地があると考えています。

また、現在はモデルの提供を行っているのですが、実際のシステム開発も必要だと考えており、これは我々の中で組織を編成して進めるのか、外部の企業と連携して進めるのかは模索中です。

あるいは、プロダクト開発する必要もあるのではという議論も進んでいます。我々で研究した技術をプロダクトという形で広く世の中に提供していくことに価値があると考えれば、その方向にも舵を切る可能性もあります。

いずれにせよ、社会に対してよりインパクトの大きな価値提供をしていかなければいけないと考えているため、現状のやり方に拘ることなく、価値提供の方法は柔軟にアップデートしていきたいと考えます。

ー非常に大きな目標を掲げていると思うのですが、鈴木さん自身はこの目標をどのように考えていますか。

常にゴールが前に前に進んでいる、という感覚があります(笑)

より良い場所、高みを目指している感じはしていますね。

入社当時は「企業の一部門でもAI実装できている状態をきちんと作ろう」という話だったのが、最近はそれだけだと一部門、一部署の貢献にしか寄与できていないという議論になり、企業、そして産業全体に寄与するのであれば何が必要かということを模索するようになりました。これまでもAIソリューション事業は毎年160%成長を続けていますが、辿り着いたと思ったらまだまだ先を見据えている、そんな感じはありますね。

大きな目標を掲げているため、勿論きついこともありますが、この役割の中で日本を変えられる可能性があるのではないかと本気で思っているので、かなりワクワクすることができています。

ー最後に、未来の仲間へのメッセージをお願いします。

前述の通り、目標が年々高くなることがある組織ですので、その結果、新しくチームができたり、やるべきことが変化することも多いです。そのため、変わることを楽しめる方に向いている組織だと感じます。チャレンジングな目標もどんどん立ち上がるので、それらを前向きに捉え、受け入れる柔軟性を持った方に入ってきていただけると嬉しいです。松尾研のAIソリューション事業に関心を持ってくださった方は、ぜひ面談でお話ししましょう。

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(プロフィール)鈴木慎司

名古屋市立大学経済学部経営学科卒業
日本生命保険相互会社入社、支社にて現場支援に従事。
本部へ異動後はコンプライアンス統括部にて金融庁対応や個人情報保護に関する全社対応を実施。
その後、株式会社ニッセイ基礎研究所へ出向し、財務、経理、社内インフラ全般2年、経営戦略策定、考課・人事制度運営、広報・イベント運営等に4年携わる。
2020年より、株式会社松尾研究所に参画。企業とのAIソリューション事業の責任者となり、2022年より取締役就任。
他、東京大学松尾研究室学術専門職員、株式会社MK Capital取締役

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