2025年2月20日をもって松尾研究所は創業5周年を迎えました。松尾研究所は東京大学大学院工学系研究科 松尾・岩澤研究室に伴走し、AI開発に取り組むベンチャー企業です。松尾教授とも10年来の盟友であり、その理念に強く共鳴し弊社を立ち上げた代表の川上に、これまでの5年を振り返るインタビューを行いました。

松尾研究所 創業の経緯
弊社は、人工知能技術を社会に実装すべく立ち上げられたベンチャー企業です。2020年に創業し、2025年2月20日をもって5周年を迎えました。
創業の契機となったのは、松尾豊教授が研究室内で推進していた共同研究の理念です。松尾教授は、技術の社会実装を通じ、人と社会の成長を後押しすることを社会的な使命と捉え、いち早く、企業との共同研究を推進していました。実験や論文の共同執筆、PoC(概念実証)など、学術的な価値創出としての共同研究は、大学研究室の役割でしょう。しかし一方で、AIアルゴリズムを適用したシステム開発を、アカデミアへの深い理解とともに担うプレイヤーが必要でした。
そこで2020年2月、AIアルゴリズム及びシステムを”開発”するベンチャー企業として、松尾研究所を発足した次第です。
両者のメンバーのモチベーションは共通しています。「知能の謎を解きたい」という知的好奇心と「技術の社会実装を通じ、社会の成長や変革を後押しする」という使命感、そして「人や技術が育つ産学連携のエコシステムを創る」という視座の高さです。人的交流・知的交流も盛んで、20〜40代のメンバーが中心となって躍動しています。
5年を経て現在の松尾研究所
創業当初は特に深層学習のモデル開発と、モデルを組み込んだプロトタイプ開発などが中心でした。現在は、外部企業とも連携したシステム開発に近い実装プロジェクトや、AI戦略の策定・オープンイノベーション創出など、中期的な戦略プロジェクトなど、バラエティに富んでいます。モデル開発においては、従来の機械学習はもちろん、自動運転、画像認識、生成、自然言語処理、時系列予測、マルチモーダル学習など、さまざまなプロジェクト実績があります。
社会からは、AI技術の専門家集団として、ポジショントークのない示唆出しが期待されていると感じます。日頃から、技術戦略・将来展望を議論する機会が多く、議論の中で生まれた仮説がプロジェクトに発展するケースが多いため、単発の受託開発案件ではなく、10年先を見据え企業に寄り添う中長期のプロジェクトが多い次第です。
次の5年を見据えた松尾研究所の今後
私たちは、ターゲットを固定し、5年間かけ逆算で目指していくような企業ではありません。常に「社会に自分達が一番大きなインパクトを与えられると思うこと」に向け行動し、行動結果からの学習を通じ、目的地を更新しながら進化し続ける組織です。したがって、社員全員がポジションを問わず、日々セルフモチベートし探究活動を行う研究者であり、自らの手でイノベーションを興そうとする起業家です。
現在も各チームでさまざまな探索活動や実験が行われているので、社内には数多くの事業の萌芽が見られます。私たちが取り組んでいる探索活動の中から、将来的に新たなスピンオフベンチャーが誕生した際、その企業がIPOを通じさらに活動の幅を拡げ、より社会の一部としての使命を担っていくことも、エコシステムの進化の一つの未来像だと考えています。エコシステムの発展や進化には、プレイヤー自身の目覚ましい成長が必要です。世界のビックテックに比肩する成長率の維持を必達として自社も健全な事業成長を果たしつつ、研究開発やスタートアップ創出を通じた社会還元に取り組みたいと考えます。
次の5年は、私たちの探索活動を多く結実させること、松尾研究所からスピンオフ企業や海外ブランチが誕生していくこと、そして松尾研の究極的な目標の1つである「知能を工学的に実現する」ことを形にしていくことを期待しています。
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