今回は、株式会社松尾研究所にAIエンジニアとしてジョインした奥村 悠希さんにお話をお伺いしました。奥村さんはAIデータ分析の世界的コンペティション「Kaggle」でKaggle master(金メダル2枚、銀メダル1枚獲得)の称号も得ています。奥村さんが松尾研にジョインした理由や、入社後の雰囲気についてお伝えします。
入社後の配属をきっかけにデータサイエンスの世界へ
ー大学では物理を専攻されていたとのことで、データサイエンスに触れたのは会社に入ってからだそうですね。
大学では理論電磁気学という学問をやってました。電磁波とかメタマテリアルとか、その周りの研究をしていたんです。なので、AIは全く門外漢でしたね。でも、会社に入ってデータサイエンスを使う部署に配属されて、そこで初めてAIに触れるようになりました。
元々興味のある分野ではあったので、「こういう部署に配属されます」と言われたときも、わからないけどやってみようかな、というポジティブな気持ちで受け入れました。AIは物理とアプローチがかなり違うんですよね。物理は理論からシミュレーションを経て実験するのが普通なんですけど、機械学習はその逆で、結果を集めてそこから共通するパターンを見つけ出す。そういう逆転の発想が新鮮で面白くて、どんどん勉強するようになりました。気付いたら夢中になっていましたね。
ーKaggleを始めたのはどのようなきっかけだったんですか?
部署に配属されて、Kaggleというプラットフォームがあるという話を聞きました。当時、部署内で積極的に取り組んでいる人はいなかったんですけど、開催中のコンペティションについて少し話題になるくらいで。それが最初の接点でした。
ーKaggleマスターになるまでの道のりが気になります。どんなふうに取り組んでいったんですか?
最初は全然歯が立たなかったですね。入社してすぐKaggleの存在を知って問題を見たんですけど、何が何だかわからない。1年目は全然手をつけず、外部の研修などで基礎を学んでいました。2年目に再挑戦して、ようやく問題の意図が少しわかるようになったんですけど、全く上位には行けませんでした。
それでまた勉強を続け、3年目に再挑戦したら銅メダルを獲得できて。その後は金メダル、銀メダルととんとん拍子でメダルを集められるようになりました。
ーそれだけ大きな成果を出せたのは、なぜだと思いますか?
実務経験も少しは役立ったと思いますが、Kaggleに必要なスキルは実務とはまた別物なんです。Kaggleのコンペの動向を追ったり、本を読んで自分で実装したりする自主的な勉強が大きかったと思います。
Kaggleってゲームみたいなもので、AIの精度を競って順位が決まるんです。メダルを取れると評価されるし、世界中のすごい人たちと競争して勝つのが楽しい。それが大きなモチベーションです。
ーメダルを取ったことで何か変化はありましたか?
社内で「金メダルを取りました」と発信すると、やっぱり少し周りからの見られ方が変わる気はしました。周囲からの見られ方もそうですし、自分自身も世界レベルでの評価が自信に繋がったので、仕事が進めやすくなった気がしますね。自分のアプローチに対して、より確信を持てるようになりました。
「様々なドメインの課題を解くことができる」ことを魅力に感じ、松尾研へ
ーそんな奥村さんはなぜ松尾研究所にジョインされたんですか?
スカウト経由でカジュアル面談を受けたのがきっかけです。松尾研という名前は以前から知っていたので、「あ、松尾研からスカウトが来るんだな」と思い、興味を持ちました。
松尾研は日本のAI研究をリードしているイメージが強かったですね。「日本でAIといえば松尾研」という印象があったので、その研究成果を活用している会社ということで興味が湧きました。
ー松尾研究所の話を聞いてみて、どのように感じましたか?
特に面白いと感じたのは、プロジェクトの多様性です。クライアントの業界が限定されていないため、自分のようなKagglerを始め、色々なドメインを触りたい人にとってはかなり良い環境なのではと思いました。詳細のプロジェクトの内容については詳しく聞けないものもありましたが、2–3ヶ月の短期間で終わるものではなく、数年単位で取り組むような長期的な視点のプロジェクトが多い、という話が特に印象に残っています。そうしたプロジェクトの特徴が松尾研の強みだと思いました。
また、自分のビジネススキルも伸ばせそうだと感じた点も良かったです。私自身、データサイエンスに寄った経験をしていると感じている一方で、ビジネススキルについてはまだこれから、という状態でした。松尾研ではプロジェクト進行の中でマネジメント経験を積むことができたり、お客様に提案する機会もあると聞きました。加えて、専門のコンサルタントが近くにいるので、そういった方々のヒアリングスキルを間近で学べる点も非常に魅力的でした。
また、実際にメンバーと話す前は「ベンチャーのキラキラした雰囲気があるのでは・・」と思い少し不安もありましたが(笑)、実際はエンジニアっぽい人が多いというか、落ち着いた雰囲気の方が多く堅実な印象を受けました。それが良い意味で意外でしたね。
バッググラウンドの異なる各領域のプロフェッショナルと
スピード感を持って課題解決に取り組む
ー入社後はどのようなプロジェクトに関わっているんですか?
例えば現在はゲームプレイの自動化を目指すプロジェクトに関わっています。具体的には、QAのテストをAIで自動化するという内容で、非常に興味深い取り組みです。こうしたエンタメ系の案件に携わることは前職ではなかったので、非常に新鮮ですね。
ー入社後、どのような点を魅力に感じていますか?
スピード感が大きな魅力だと感じています。例えば、プロジェクトを進める上で必要なツールを即日手配してもらえたり、勉強会の企画がすぐに実現する点など、大企業では考えられないほどの迅速さがあります。また、バッググラウンドの異なる各分野のプロフェッショナルが集まっていて、コミュニケーションが活発な点も魅力的ですね。SlackやZoomのチャットも賑やかです。そのおかげで、技術や知識の共有が自然に行われていると感じます。
また、週一の定例会で進捗報告やフィードバックを行う仕組みは非常にありがたいと感じています。他のプロジェクトの進行状況や解決方法を知ることで、自分のプロジェクトにも活かせる部分が出てきますし、全体的な効率化にもつながります。さらに、月一の合宿では組織全体をどう良くしていくかを議論する場も設けられていて、全体最適を目指している点が松尾研らしいと思います。
ーKaggleでの経験が松尾研での業務にどう活きていると感じますか?
これはよく聞かれるのですが、難しい質問で。Kaggleで解いた問題へのアプローチがそのまま実際のプロジェクトに応用できるかというと難しい一方、深層学習モデルを動かすためのエンジニアリング力や効率的なアプローチの考え方など、間接的に役立つスキルが多いです。
でもぜひみんなにやってほしいなと思うくらいにスキルとしては活きていると思っているので、ハマる、ハマらないはあると思いますが、松尾研内でももっとKaggle熱を盛り上げていきたいですね。松尾研内でチームを作って、ぜひ金メダルを獲りに行けたらいいなと思っています。
ー最後に、松尾研でどのような人と働きたいですか?
松尾研のエコシステムに共感できる人がいいですね。全体最適を目指し、他部門との連携を意識できる人と一緒に働きたいと思います。そして、Kaggleが好きな方はぜひジョインいただき、一緒に強いチームを作って金メダルを目指しましょう!
(プロフィール)奥村 悠希
大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了。オリンパス株式会社に在籍後、2024年10月より現職。