「最短距離で本質的な課題解決を。」先端技術を社会実装し価値を生む、松尾研のシニアデータサイエンティストとは?

今回は、株式会社松尾研究所でシニアデータサイエンティストチームのリーダーである岡田 領さんに、本職種に求められる役割や実際のプロジェクトの進め方、今後の展望についてお話をお伺いしました。

業界業種問わず様々なプロジェクトを長期間にわたって推進。

ー松尾研のシニアデータサイエンティストの役割と、求められる力について教えてください。

松尾研のAIソリューション事業のシニアデータサイエンティストは、AIコンサルタントと協働しながら、チームで連携し、クライアントの課題に対して技術的なソリューションを研究・開発・提供します

求められる力としては、①AI実装力 ②チームリード力 ③顧客折衝力 の3点です。

自分が携わったプロジェクトの例を挙げると、画像認識・異常検知・ロボティクス系の研究・開発プロジェクトです。他には「世界モデル」(※) という国内外で研究が進められている領域の産業界への応用を検討するプロジェクトや自己教師あり学習に関わる内部の探索的なプロジェクトなどもあり、リサーチからAIモデル構築、エンジニアリング、プロジェクト推進まで幅広い経験をさせてもらっています。

※世界モデル:外界(世界)から得られる観測情報に基づき外界の構造を学習によって獲得するモデル

参考)「世界モデル」とは何か? 知能の実現に向けて、松尾研が研究を推進する理由。| 東京大学松尾研究室
https://weblab.t.u-tokyo.ac.jp/20221130-1/

プロジェクトは短くても半年から1年かけて取り組むものが多く、中には3〜5年という長期間に渡って続いているプロジェクトもあります。ただ、長期プロジェクトとは言っても、「この取り組みをより大きくしていきましょう」という議論が生まれ、当初の課題とは異なる課題の解決に向けた取り組みを進めることも多いため、同じことの繰り返しではなく、変化に富んでいますね。

業界業種問わず多様なプロジェクトがあるので、常に自分がこれまで知らなかった領域のインプットが必要とされますが、面白く取り組ませてもらっています。直近は社会実装のプロジェクトは別に、LLMを使った自社プロダクト開発にも携わっています。

プロジェクトを進める中で、数年後を見据えたより高い挑戦へ。
顧客企業の技術リテラシーの向上も実感。

ー実際にプロジェクトではどのような価値提供をしているのですか?

プロジェクトによって成果は様々ですが、例えば私が携わったものだと、ある企業様にて工場の監視の自動化を実現しました。これまで人的にある工程を管理していたものを自動化できたため、異常を早期に検知することができ、製造ロスやコスト削減に繋がりました。

最初はそのような具体的な課題解決から始まった企業様ですが、今ではプロジェクトを進める中でより組織としての本質的な課題解決に向けての取り組みを進めています。

長期に渡ってプロジェクトを進める中で先方組織の技術に関する知識レベルもかなり上がってきているため、より発展した内容にアプローチできています。課題が解けることも勿論ですが、先方組織の知識レベルが上がることで、組織成長にも貢献できていると実感できることは大変嬉しいことの一つですね。

純粋に顧客の中でも技術を用いてできること・できないことの解像度が上がっているため、今できることを踏まえて、数年後を見据えた高い目標に向けて共にチャレンジすることができます。

また、松尾研はモデル開発に一番の強みを持っていますが、アウトプットを限定しているわけではありません。モデルを渡して終わり、ではなくケースバイケースでMLOpsの観点で支援・開発したりプロトタイプを作ったりと継続的に開発や支援も行っています。

最短距離で本質的な課題解決を。
価値を生み出す手段として、時に顧客への提案も。

ーどのようなことを意識してプロジェクトを進めていますか?

「最短距離で本質的な顧客の課題を解くためにはどうしたら良いか」を考えています。

時に顧客提案を行う場合もあるのですが、これはビジネス力をつけたいというよりは、目的を最短距離で達成する上で必要なスキルがあれば活用したい、という考え方を持っています。

全体の流れを見ることで本質的な価値提供のために何を捉えるべきかが分かってくるので、この関わり方が効率的だなと。AIの技術を使うにしても、価値を生み出すことができなければ意味がないので。

そもそもの世の中の課題が全てAIで解けるかというと、限界がありますよね。

データサイエンティストが本当に社会の課題を解いていくのであれば、AIの技術的見地に立ったものの見方だけではない、幅広い視点が必要だと思うんです。そういった観点から、データサイエンティストも最初の提案の部分から入り、提案書を書いて提案することもありますね。ビジネス的な価値がどう生み出されるかを、技術屋が考えてはいけないことはないと思うんです。

こうした「価値を生み出す」という視点は、松尾研に来る前はあまり持てていなかったように思うのですが、(大学の)基礎研究の研究員の方も含めて、本当に社会に対する提供価値を強く意識してるんだなっていうのが、いい意味でのギャップでした。

ーちなみに岡田さんは前職は何をされていたのですか?

前職は、システム開発会社でエンジニアリングやアーキテクチャ設計、プロジェクトリードを担当していました。いわゆるSIerでは新しい技術をあまり使わないことが多いのですが、有り難いことに自分は先端技術を使ったプロジェクトに携わる機会に恵まれていて、AIやブロックチェーン技術を活用した開発に携わっていました。

ですが、SIerは性質上保守や部分的な開発が多く、どうしてもスピード感が遅くなってしまう。より早く新しい技術価値を提供したいと考え、次のキャリアを考え始めました。

最終的な候補として残ったのは、松尾研か事業会社かの二択。二つを比較した際に、事業会社は転職後のイメージができたものの、アカデミアに近い組織である松尾研は働き方や仕事内容があまりイメージできなかったんですよね。(笑)よく分からないからこそ面白そうだと思って、松尾研へのジョインを決めました。

技術難易度の高い論文実装。
好奇心をベースに、手を動かしながら先端技術をキャッチアップ。

ーこれまでプロジェクトを進める上で、大変だったことはありますか?

松尾研のプロジェクトでは最新の論文や事例がないような考え方を積極的に実装し、活用を検討します。ゆえに、既存のソフトウェアやライブラリのように安定して動作するものをベースにしていません。その点は技術難易度が高く難しい点であり、かつ面白さでもあったりします。

それらを実現するためにはアルゴリズムやフレームワーク、ライブラリへの深い理解が求められます。また、様々なユースケースに対応できるよう設計されているライブラリなどとは異なり、論文は1つのケースをベースにして動かしているので、社会実装する場合は様々なケースに対応できるように自分達で設計する必要があるんです。実際に動かしてみないと分からないことも多いため、取り組む速さも求められます。この辺りが強いことは松尾研の大きな特徴ですね。

ー新しい領域や技術のキャッチアップはどのように進めていますか?

前提として、単純な好奇心はとても重要です。

既存のルールや限界が技術で置き換わる瞬間や、新しい技術や手法が出た際に、それらがどう広がっていくのかを見るのも面白い。他にも、意味のある組み合わせを見つけて新たなものを生み出したり、既存のものを洗練することで新たな価値を生み出したり・・ということ自体が面白い。それらを面白がって、好奇心をベースとして「もっと知りたい」と思うことで自然とキャッチアップは進むと思います。

その上で、技術を「学ぶ」ことと「使う」ことは全く異なります。

書籍や論文を読むことは誰にでもできますが、チュートリアルを触るのと、社会実装の文脈で技術を扱うのでは全く次元が異なるので、最新論文を読んで、実際に社会実装の中で手を動かして・・と試行錯誤を重ねながら先端技術をキャッチアップしている感覚はありますね。

情報を集める際には体系的に一から学ぶというよりも、その目的を達成する上で必要な要素というのは何かを考えながらキャッチアップを進めています。仮説を立てた上で、一番信頼できるであろう情報ソースを探して探すというか。論文であれば最新の論文を読み、そこで引用されている過去の論文を読み・・と広げていく感じですね。

ープロジェクトメンバーである学生インターンは、どのような方達ですか?

松尾研のインターン生は興味のあることに猛進できることが特徴で、「面白がって突き詰めることができる」ことは大きな強みです。優秀という言葉はあまり使いたくないですが、みなさん技術力やエネルギー値が高く優秀な方々です。

年上だから年下だからということをあまり気にしないというか、普通に仲間として接する感じですね。当然、僕が社会人の先輩として経験しているものも多いので、その人の価値に繋がる部分があったら教えてあげることもあります(教えてあげるって言い方も偉そうですが)。別に学生だからと言って、社員に劣っているなんてことは全然なくて、技術的に強い部分は強いので、彼ら彼女らに学び刺激を受けることも多いです。

技術発展の先を走る松尾研。
高い技術力を土台に、頼もしい仲間と共により高みを目指す。

ー在籍される中で、組織として変わったこと・変わらないことはありますか?

「AI技術を用いて社会の課題を解決する」「チームで取り組んで価値を出す」というところは変わっていません。ですが、年々目指すところは大きくなっていると感じます。AI「だけ」で解決できる範囲はやはり狭いので、それ以外の手段も含めて、課題解決のために最適な手段を見つける、ということができてきていると思います。

そういった思想は元々からあった気もしていて、組織の仕組み化が進んだことで、より効率的に元々本来目指すべきだったところを目指せるようになったんだと思います。

元々の高いAI技術力を土台に、戦略ファーム出身のメンバー含め、様々なケイパを持つメンバーが入ってきたので、取りうる選択肢が増えてきた実感は持っています。

ー最後に、今後の展望について教えてください。

今後も目まぐるしいスピードで技術は発展していきます。しかし、松尾研はその先をいくような技術要素やアイディアに溢れている組織なので、それらを社会実装して価値に繋げるのが我々のチームがやるべきことですね。理想的には、作ったモデル全部を社会実装できるようにしていきたいなと思っています。

(プロフィール)岡田 領
東京理科大学理工学部経営工学科卒業。
日本ヒューレット・パッカード(2017年よりDXC Technologyに分社)にて7年間在籍後、松尾研にジョイン。データサイエンティストチームリーダー。

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