「コーポレート部門というと、通常の組織では“守り”の仕事が多いと思います。しかし、松尾研究所では“攻め”の仕事も担っています。池に石を投げ込み、最初の波紋を起こすのが松尾研究所の存在意義。それにしたがいコーポも世の中に先例のない仕組みづくりに挑戦しています。」と話すのは、松尾研究所のコーポレート部門を統括している久保田陽登美さん。
現在、弊社では、共に“攻め”の仕事に挑む、人事や財務、マーケティング、情報システムのリーダー候補を募集しています。最初の波紋を起こす仕事とは果たしてどのようなものなのでしょうか。「人生で成し遂げたいことに向かって日々自分が進んでいる実感を持てる組織」と語る久保田さんに伺いました。
東大松尾・岩澤研とビジョンを共有するベンチャー
──そもそも松尾研究所とはどのような組織なのでしょうか?
東京大学大学院工学系研究科の松尾・岩澤研究室とビジョンを共有するベンチャー企業です。
以前から松尾豊教授は多数の企業と共同研究に取り組んでこられていましたが、昨今のAI市場の拡大・発展により、”研究”ではなくソリューションやシステムの”開発”を求められることが増えてきました。
そこで、開発を担う組織として2020年に設立されたのが、松尾研究所です。松尾教授の10年来の盟友である川上を中心に、有志によって立ち上げられました。松尾教授は技術顧問として関わっています。
AI技術の専門的な見地から「日本の産業を変革する」
──松尾研究所のミッションは何でしょうか?
大学・企業・スタートアップで構成される産学共創のエコシステムの一翼を担い、AI技術を社会に届ける送電網となることと、事業活動を通じ人と社会の成長を後押しすることです。
弊社は、国立大学である東大の研究室に伴走している大学発ベンチャーなので、社会からの付託を背負っている組織と自認しています。
現在の中心事業は、AIソリューションの開発です。しかしスコープが決まった開発案件を進めるというわけではなく、深層学習技術の専門的な見地に立ち、経営戦略に資する示唆出しが常に期待されています。議論が局所最適に陥っていると感じたら、時にクライアントであっても率直にお伝えしますし、我々がやりたいことに誘導するようなポジショントークをしないことも貫いています。
クライアントひいては社会にとって、成長課題を乗り越えられるような本質的な価値を、AI技術を通じ提供するのが、私たちの役割です。
──高い視座から物事を見ているわけですね。
松尾研究所には全社員が意思決定・行動の際に重視する判断基準が3つあります。そのひとつが、まさに「高い視座・広い視野」です。単なるお題目にとどまらず、それを実践しています。
よく競合は?という質問をいただくのですが、私たちの根底には「AI技術を通じ日本の社会・産業の成長のボトルネックを突破したい」という強い気持ちがあるので、国内のすべてのAI企業は切磋琢磨する同志と捉えています。
あえてライバルをあげるとしたら、イーロン・マスクという話は社内でもよく出ます。世の中にインパクトを与えるという意味で、彼に比肩する人物はそういない。我々も負けてはいられない、と考えています。
非上場でキャピタルゲインと同じぐらいの報酬設計をするには? 前例のない“攻め”の仕事に取り組む
──そんな松尾研究所が、コーポレート部門のメンバーを募集し始めたそうですね。
人事、財務・経理、広報、情報システム、法務など、さまざまな分野のプロフェッショナルを求めています。今も「神7」と呼んでいる優秀なメンバーが7人いて、役割分担をして業務を遂行しているのですが、「神15」ぐらいにしたい。
──なぜそれだけ多くの分野のプロフェッショナルが必要なのでしょうか。
理由の一つは、年間20~30人ペースで社員が増えたことで、ヒト・カネ・情報の還流がハイスピードになり、業務量が急増したことですが、もっと大きな理由があります。
それは、前例のない仕事に取り組む必要があることです。
──前例のない仕事とは?
弊社はヒト・カネ・情報・ブランドが主な資産です。それらを上手くマネジメントして経営目標を達成するのが私たちコーポレート部門のミッションですが、その目標を達成するには前例のないやり方をする必要があると考えています。
たとえば、今の課題の一つが、「いかに自分でベンチャーを上場させたのと同じぐらいレバレッジの効いた報酬設計をするか」です。
優秀な社員には、その働きに報いた報酬をお渡ししたいと考えています。松尾研究所で働いているメンバーは自分たちで起業したいという気持ちも持っているし、その能力もある。そういう優秀な社員にうちで働き続けたいと思ってもらうには、起業して上場し、キャピタルゲインを得たのと同じぐらいレバレッジが効く報酬設計をすることが必要です。
──取り組みがいがありますね。しかし…
難題です。創業者が得られるキャピタルゲインと同じだけの報酬を企業勤めで実現する、ということですから。
答えは教科書には書かれていないので、前例を持ち込むだけでは解決できません。自分自身の視座を必死に引き上げながら、教科書にない方法をどうにか自分たちで設計しなければなりません。つまり、松尾研究所のコーポレート部門の仕事は、未知のものに果敢に取り組む“攻め”の仕事なのです。
スキームを確立し拡げれば、日本の大学発ベンチャーの世界が変わる
──攻めのコーポレート部門、魅力的な仕事ですね。
ただ、私たちは“攻め”ながら“守り”をしていく必要もあります。
繰り返しになりますが、松尾研究所は、AI技術を通じ社会の発展に資する責任を背負っています。
その社会からの付託に応えていくためには、あらゆるステークホルダーに対して、透明性高く、誠実な経営をおこなう必要があります。自分たちが誠実であるためには、堅牢な管理体制をつくらなければなりません。
──イケイケドンドンの“攻め”一辺倒ではいけないわけですね。
ベンチャーらしく柔軟でありながら、堅牢でもある。そんな相反する2つを両立できるスキームをつくることが大切だと考えています。スキームが確立すれば、松尾研究所だけにとどまらず、他の大学発ベンチャーなどが模倣できますからね。そうして日本中に広がっていけば、日本の大学発ベンチャーの世界は変わると思うんです。
──ベンチャーが活発化すれば、日本の産業界を変える大きな力になりますね。
以前、弊社の社長である川上が、こんなことを言っていました。「我々は、池に石を投げ込み、最初の波紋を起こす存在なんだ」と。
前例のない仕事をして波紋を起こせば、苦難もあるし、時に人から煙たがられることもあるでしょう。しかし、波紋が広がることによっていろんな議論が起きたり、もっと良い方法が生まれたりすると思うのです。
松尾研究所はAIを用いた仕事によって波紋を起こしていますが、コーポレート部門もまた「池に石を投げ込み、波紋を起こしていく」石になりたいと思っています。
専門知識を持ちつつ横断型の意思決定ができるか
──そうした前例のない仕事を一緒におこなうメンバーに求めることはありますか?
「専門知識を持ちつつ横断型の意思決定ができる人」です。
もう少し噛み砕くと、何らかの分野のプロフェッショナルでありながら、他の分野のことにも知見を持ち、総合的に物事を考えられる人。たとえば財務のプロフェッショナルでありながら、人事や法務などの観点からも物事を見て、判断を下せる人です。
そうでなければ、前例のない仕事はできません。たとえば、先ほどお話しした、「活躍する社員が自分でスタートアップを創業するのと同じぐらいレバレッジの効く報酬設計をする」には、財務や人事などの横断的な知識が必要ですよね。
──確かにそうですね。
さらに、弊社はベンチャー企業ですから、事業や組織などの内部環境もどんどん変わっていきますし、会社を取り巻く外部環境も変わるので、それに応じて自分を柔軟に変えて軌道修正していくことも必要です。
そんななかで質の高い仕事をするためには、常に進化し続けなければなりません。これまで自分が身につけてきたことをアンラーンして、他部門に敬意を払いながら、どの分野も標準レベルの受け答えができるよう食らいついて学習するしかありません。
──専門知識や経験にあぐらをかいていてはいけないと。
そういう私はどうなのかというと、2020年に松尾研究所に入ってから、学習し続けてきました。
入社前は研修企画や新卒採用なども経験していたので、入社直後は人事にアサインされたのですが、中途採用や人事考課制度の設計はしたことがなく、面食らいました。さらには財務担当者の退職に伴い、財務諸表を月次で更新する仕事も未経験で担当。それに関連して法律も学ばなければならないし、広報活動もしなければならない…。
そこで自分の業務知識のレベルを高めるために、本を読みあさったり、士業の先生にすがりついていろいろ教えていただいたりしました。体系的に学ぶことも必要だと感じ、国内のビジネススクールにも2年半ほど通いました。働きながらビジネススクールに通うのがこんなにツラいとは(笑)。
──忙しい日々のなかでそこまで学んでいたんですね。
でも、必要なことでしたね。私は経験が足りなかったので、その分苦労も大きかったのですが、プロフェッショナルの方も、すべてにおいて経験や知見を持っているわけではないと思うのです。そうした方が、専門分野に関してアップデートし、専門分野でないことも学習する。そのうえで横断的に物事を考えて意思決定すれば、無敵だと思うのです。
そんなマインドを持っているプロフェッショナルの方に入社いただき、切磋琢磨しながら一緒に仕事ができれば嬉しいですね。
研究者カルチャーから醸成された「高い視座・広い視野」
──久保田さんから見て、松尾研究所やコーポレート部門の良さとは何でしょうか?
繰り返しになりますが、メンバーが「高い視座・広い視野」で仕事に取り組んでいることです。
誰でも経験があると思うのですが、働いていると本質的な価値とは程遠い仕事をしなければならないことがあります。「なんと無意味だろう」と思いながら、しぶしぶとするわけですね。
しかし、松尾研究所で働いていると、そうした瞬間がまったくありません。皆が本質的な価値を追求しているし、局所最適ではなく、日本や社会のためになることとは何かと考えて仕事をしている。そういう松尾研究所のカルチャーが私はすごく好きですね。
──なぜそういうカルチャーが醸成されたのでしょうか。
おそらく、根っこに研究者カルチャーがあるからだと思います。
研究者は目先の利益を追うよりも「本当にそうなんだろうか」と真実を探求したい思考を持っていると思うのですが、松尾研究所のメンバーも、研究者以外の担当者も含め、まさにそういう人たち。「本当にそれでいいんだろうか」とずっと考えているんですよね。
クライアントや日本のこともそうですが、「自分の人生、このまま年を重ねて死んでいくのでいいんだっけ?」と、自身の生きる意味を考えている。だから、虚飾に踊らされず、本当に世の中にインパクトを起こすこととは何か、と本質的な価値を追求し続けられるのだと思います。そういう視座の高いメンバーと経営談義をしていると、私も局所最適の思考から本質的な思考に自分を引き戻せる、と感じます。
キラキラした感じではないけれども、いぶし銀で、熱くて真面目。そうしたメンバーに囲まれたい人にとって、松尾研究所は最高の良い環境だと思います。
成し遂げたいことに向かって自分が進んでいる実感はありますか?
──結びに松尾研究所への応募を検討している人にメッセージをお願いします。
皆さんが人生において何を成し遂げたいこととは何でしょうか? その成し遂げたいことに対して、自分が進んでいる実感はありますか。
もし進んでいる実感が持てない、日々ルーチン化した仕事を繰り返している、ということであれば、ぜひ松尾研を選択肢の一つとして加えてみてください。
松尾研究所には、簡単に解けないさまざまな難題が大量にあります。その問題のなかに、みなさんが成し遂げたいことにリンクすることが必ずあるはずです。
そうした仕事に日々チャレンジし続ければ、成し遂げたいことに向かって進んでいる実感が得られるようになるでしょう。気になる方は、まずカジュアル面談にお越しください。実は私も気軽にカジュアル面談に応募した結果、あれよあれよと今ここにいます(笑)。数年後には、あの時が人生の転機だった、と思えるかもしれません。