イトーキ × 松尾研究所、AIで解き明かす生産性研究に関する記者発表会イベントレポート
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Date
2025.08.07
2025年7月29日(火)日本橋 イトーキ様オフィスにて、株式会社イトーキ 代表取締役社長 湊宏司様、執行役員 八木佳子様、当社技術顧問の松尾豊教授、シニアデータサイエンティストの大西直が登壇しての記者発表会が開催されました。

発表会前半では湊社長と弊社技術顧問の松尾教授が登壇。イトーキが考える「オフィスの生産性とは」「オフィスの生産性をデータやAI技術を基に如何に定義し、最適化していくか」ディスカッションが行われました。
本共同研究・共同開発の背景には、オフィス業界を取り巻く市場の変化が挙げられます。コロナ前は「コスト」と認識されていたオフィスでしたが、出社が当たり前でなくなったコロナ後の社会においては、人的資本経営の観点からも「社員が来たくなる」「人的資本に貢献する」オフィスが期待されるようになったとのこと。そこで、イトーキ様では人的資本へのオフィスの貢献価値を「生産性」とし、ITやAIの力を通じ生産性を高めるオフィスづくりを実現したい、と考えていらっしゃったそうです。
「AIといえば松尾研究所。かねてより松尾研究所とは一緒に(共同研究開発に)取り組みたいと思っていた」(湊社長)とご期待いただいていたとのことで、今回の共同研究・共同開発の開始に至りました。 松尾教授からは、過去仕事のパフォーマンスの因子を分析・研究した例の紹介がありました。当時業務パフォーマンスの測定に際しては、オフライン・オンライン・(睡眠データなど)業務外での行動データなども含め多様なデータが必要であったそう。松尾教授のコメントからは、生産性を規定する変数の多さに対しマルチモーダルデータを用いた分析の相性が良く、松尾研究所との共同研究に取り組む意義も窺えました。

後半では執行役員 八木佳子様と、弊社シニアデータサイエンティストの大西が登壇。今回の共同研究・共同開発の背景及び研究の概要について紹介しました。
「生産性」は①定義が多様で ②影響因子も多く「これまで(イトーキやオフィス業態一般的に)研究をやりかけては部分的な取り組みに終わっていた」(八木様)とのこと。共同研究・開発を開始するにあたっては、松尾研究所側で海外の先行研究論文をサーベイし、イトーキ様がこれまで使ってきた生産性定義のモデルから、どのような中間指標へのブレークダウンが可能かを模索しました。
オフィス環境における生産性の影響因子の多さを乗り越え如何に因果を特定するか、という点については、弊社データサイエンティストチームがイトーキ様オフィスでマルチモーダルデータを用い分析に取り組んだ実験事例を紹介。生体データ、オンラインサーベイ、位置情報、オンライン上のコミュニケーションデータ等、多様なデータを用いた分析結果から得られた、幾つかの示唆についても言及しました。

イトーキ様との共同研究・開発は今後もさらに続いていきます。イベントでは、オフィスと生産性の因果関係を解き明かすことで、人的資本に関わる経営指標へのインパクトを可視化し、今後の顧客への価値提供にも繋げていきたいという展望・意気込みを両社で確認しました。
イトーキ様の志、ひいてはオフィスで働く全ての人々の生産性に一層貢献して参りたく、ぜひ今後の研究成果にご期待ください!
■プレスリリース
■メディア掲載
- ワールドビジネスサテライト『オフィス家具大手 AIで「生産性」を可視化 戦略は?』
- 日経クロステック/日経コンピュータ『イトーキと松尾研究所、マルチモーダルでオフィスの生産性を可視化する共同研究』
- ITmediaビジネス『「生産性が高い人は、高い人同士でよく話す」イトーキ×松尾研、“成果が出るオフィス”の条件を探る』
■松尾研究所について
株式会社松尾研究所は国立大学法人 東京大学 工学系研究科 松尾・岩澤研究室に伴走し、大学を中心としたイノベーションを生み出す「エコシステム」を作り、大きく発展させることを目的に設立された研究所です。松尾研究所は、アカデミアから生み出される研究成果・技術の「開発・実装」を行い、広く社会に普及を目指し、日本の産業競争力の向上に貢献しています。
<本件に関するお問い合わせ>
株式会社松尾研究所 広報担当 pr@matsuo-institute.com